見る城ではなく戦うための城
今回の紹介本
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タイトル:[城を攻める 城を守る]
著者 :伊東 潤さん
ジャンル:歴史
分類 :中級
流水の感想
この本では従来の城本でよく取り扱われている豪華絢爛な天守を頂く「見る城」ではなく実際に攻防戦が行われた「戦うための城」を題材に扱っています。
そのため山城や土塁の城が数多く登場します。
縄張りや郭群、堀切など城の構造が事細かに記されていて城好きの人にはうってつけです。
その城で行われた戦いや経緯もまとめられているのでただ城の構造を知るのではなくそこで起こった歴史を知ることも出来ます。
ただ、城構造は本当に細かく描写されているのですが個人的に歴史の面で少し物足りなさ、残念な部分があります。
著者が小説家であることも一因なのでしょうか、著者の憶測や推測が多くあります。憶測や推測にページを割くぐらいならもっと資料から引用して書いて欲しかったです。
この点で少し物足りなさがありました。
また定説に否を唱える場合であれば引用する文献をしっかり明記して欲しいです。
城は大部分が東日本に集約されており(これは前書きで著者が断りを入れていますが)西日本の城は少ないです。
四国・中国地方は一つも出てきません。
私としてはもう少し西日本の城を書いてほしかったです。
おススメできる人
従来の「見る城」ではなく「戦うための城」を取り扱っており城本来の部分にスポットを当てているので歴史も城も好きな人には楽しめる内容です。
逆に「見る城」が好きな人にとってはある程度歴史背景の知識を持っていないと読みづらいと思います。