ローマ属州から現代までフランスを通して知れる1冊
今回の紹介本
今回紹介する本はこちら!
タイトル:[図説 フランスの歴史]
著者:佐々木 真
ジャンル:歴史
キッカケ
図書館でフランス史の本を探していて写真や図も多くページ数も167ページと少なめできっかけとしては丁度いいかなと思い手にとりました。
しかし開いてみるとページ構成は三段刷りで一ページびっしりの部分もあり内容はとても濃くローマ属州から現フランスまでの政治の変遷、宗教や文化の移ろいも網羅されています。
内容の紹介
王の名
フランスの王政でカペー朝やブルボン朝などありますがフィリップやルイといった王の名は王朝を跨いで使われていたのを始めて知りました。
私はてっきりカペー朝の王はフィリップ、ブルボン朝ならルイといった直近の血縁で代々繋がっていると思いこんでいたので王朝を跨ぐと知り「覚えにくいじゃん!」と思ってしまいました。
しかし読み進めるうちに王の名が跨っているのは前王朝の有名な王の名を名乗ることで王朝の正当性や統治を安定させるためだったのかなと思うようになりました。
日本でも名を名乗ることはありませんが代わりに名跡を継ぐという形で姓を名乗ることはよくありました。
例えば後北条氏はもともと伊勢という姓でした。初代早雲の本名は伊勢新九郎盛時です。二代目氏綱公の時に関東での影響力を考えて鎌倉幕府の頃の執権北条氏と同じ北条性を名乗り始めました。
他にも真田信繁(幸村)の父昌幸は主君信玄の母方の遠縁である武藤家の名跡を継いでいて一時武藤姓を名乗っていました。
これは名家の姓を名乗ることで家格を上げてその人に伯をつける意味合いがありました。
こう考えるとやはり歴史には共通する部分というのがありますね。
政教分離の理念
政教分離が強い現フランス誕生のきっかけになったフランス革命。
1793憲法に明記された「共和国は単一にして不可分」という一文。
不可分であるということは中間団体に分割されない。
個人と国家の間には何も存在しないという革命の理念が表れています。
つまりフランスにとって国家の中には「フランス人」しか存在しえず人種や宗派による団体は公的な世界では原理的に存在しえない。
この価値観は今も強く残っていて信仰は自由でもそれはあくまで私的世界でのものであり公共の場に出てくるものではないという考え方なんですね。
だから今のフランスではイスラム教の人たちが被るスカーフといった宗教を表像するものを公的な場で着用することが禁じられています。
当時はキリスト教が大半を占めており公私を分けて信仰することが可能だったのでしょう。
しかしスカーフの着用や豚肉を食べない、一日5回のお祈りなど生活に根差した教えが多いイスラム教では公私に分けて信仰を続けるのは難しいですよね。
フランス革命を知ったことで今のフランスが抱える問題の深さが見えてきます。
まとめ
ゴシック式とはゴート風という意味で蛮族のゴート族を連想させる蔑称だった。
ノートル・ダムの意味は「われらの貴婦人」でそれは聖母マリアを指している。
つまりノートル・ダム大聖堂は「聖母マリア大聖堂」ということになる。
それまで知らなかった語源や意味を知る楽しい発見もありました。
正直結構最初のあたりで「最初に選ぶ本としてはまずったかな・・」とも思いましたがフランス史全体を通して読めるのでとても勉強になる一冊でした。
それではまた次回
いじょ~流水でした!
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