[日本の古典をよむ16 太平記] 本の紹介【59】 

栄枯盛衰・諸行無常

目次

今回の紹介本

今回紹介する本はこちら!
タイトル:[日本の古典をよむ16 太平記


著者:長谷川 端
ジャンル:古典

南北朝時代を描いた日本の古典太平記。
古典を読んでみようと思っていた中で太平記を選んだのは今まで読んだ[知の教室]本の紹介【58】などの中で太平記が薦められていたのもありますが私が好きな武将・吉川元春が陣中で太平記を写本したという故事がありそもそも太平記に興味があったからです。

この本では現代語訳と原文が交互に乗っており解説やあらすじも付いています。
本文も全文を載せるのではなく要所を抜粋して載せていて300P足らずで太平記40巻の物語に触れられるので古典初挑戦の私としては読みやすくいい入門編となりました。

今にはない表現が多くてなかなか読むのは大変でした。
例えば右手左手が馬手弓手となっていて少し想像すればどちらが右か左かはわかるのですが考えるために毎回止まってしまいます。
「落花(らくくわ)の雪に道迷ふ、交野の春の桜狩り、紅葉の錦を着て帰る、嵐の山の秋の暮れ」ともの凄く風流で雅な雰囲気の文でいいな~と思っていたら続きが「一夜を明かす程だにも、旅寝となれば物うきに」とあり えっ?この文でプラス表現じゃなくてマイナス表現なの!? と驚いたりしました。
「旌旗の風に翻って靡く気色は、秋の野の尾花が末よりも繁く、剣戟の日に映じてかかけやる有様は、暁の霜の枯草に布けるが如くなり。」
このような表現は好きですね。
歴史故の栄枯盛衰。諸行無常。
村上親子の決死の防衛で事なきを得た護良親王の最後は歴史故の無情さがありますね。

太平記は歴史が本筋ではありますがフィクションの部分も多く含んでいるあたり信長公記といった歴史書とは違いますね。
まず、怨霊や天狗などの存在が各所に登場します。
前述の信長公記より真田十勇士に近いイメージですね。
作中の迫力を出すためか兵力の誇張表現も凄い。
太平記の中では数十万騎、なかには百万騎とか二百万騎が平気で出てきます。
この時代はまだ戦争は武士階級だけでの戦いでした。
鎌倉幕府が滅ぼした奥州藤原氏は現在の関東以北全域を支配していましたがその兵力は「奥州十七万騎」と言われていました。
恐らくこの数字もかなり誇張されているはずです。
農民を雑兵とし武士を指揮官階級に置くことで動員兵力が格段に上がった戦国時代でさえ秀吉の北条征伐で約20万。関ヶ原の戦いで全国東西両軍合わせて約30万程度なのであまりにも多すぎます。
私はこの時代の武士階級の動員力を知りませんが武士しか戦わない以上決して動員力は高くないと思います。
太平記の兵数は実際の10倍近くで記されているのではと思います。

昔は百万という数字は「多い、沢山」の意味でも使っていたようです。
真田信繁(幸村)の大坂の陣の時の言葉「関東軍 百万も候え 男は一人も無く候。」などからも必ずしも実数を表していないことが解ります。
ですから「沢山いるんだよ」という意味もあって百万騎という表現を使ったのかもしれませんね。

流水

それではまた次回
いじょ~流水でした!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

歴史好き/読書好きな一般サラリーマン
歴史のおもしろさや読んだ本の紹介などの記事を書いています。
もし興味を持っていただけたらブックマークなどしていだだけると嬉しいです。
Twitterもやってます。
記事更新の情報なども発信しています。

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次