世界の歴史ローマ帝国Part6 人物編【賽は投げられた!来た見た勝った!ローマを帝国にした男ガイウス・ユリウス・カエサル】元老院との対立と二人の協力者

世界の歴史
ローマ帝国Part6
【賽は投げられた!来た見た勝った!

 ローマを帝国にした男 ガイウス・ユリウス・カエサル】
元老院との対立と二人の協力者

目次

概説

ローマ帝国最大版図(wiki参照)

ローマ帝国は後のヨーロッパに直接影響を与えた大帝国です。
史上もっとも続いた国家で紀元前700年頃から東西分裂を経て1453年まで続いています。
国の歴史が古すぎて最初の王様は神様の血を引く人物とされ神話になってしまっています。
国家誕生が神話に基づくのは日本と同じですね。

ローマ帝国は国家の形を維持しながら時々に合わせて様々な変化を遂げていった国でもあります。
支配体制は王政→共和制→帝政

国家体制は、都市国家→都市国家連合→帝国→東西分裂

ローマ帝国は土木技術が優れており水道橋や道路の建築水準は後の中世ヨーロッパ世界をも上回っており【全ての道はローマに通ず】という言葉もあります。

その長い歴史の中で多くの英雄も輩出しています。
ファビウス、スキピオ、カエサル、アウグストゥスなどが有名です。
また、ローマに立ちふさがる敵としてカルタゴの英雄ハンニバルなどが登場します。

最終的には肥大化しすぎた帝国領土の管理問題とゲルマン民族の大移動の影響を受け東西に分裂


西は早々に滅亡してしまいますが東ローマ帝国(ビザンティン帝国)は1453年まで続きます。

ローマを帝国にした男!ガイウス・ユリウス・カエサル

<strong><strong><span class="bold-blue">流水</span></strong></strong>
流水

どうも!流水です!
世界の歴史 ローマ帝国編Part6
今回は前回から引き続きガイウス・ユリウス・カエサルをご紹介したいと思います。

今回はカエサルと元老院派の対立と彼の協力者でありライバルであるクラッススポンペイウスについて紹介していきます。

カエサルと元老院派の対立

まずはこの先の出来事がわかりやすくなるようにカエサルと多くの元老院議員の人達は考えが違った点を解説したいと思います。
カエサルも元老院議員ですが彼の最終目的は元老院中心によるローマ共和制の打破にありました。
なぜそのようなことになったのか。

ローマは長らく独裁を防ぎ元老院を中心とした共和制を良しとしてきました。
たしかに今まではそれで上手くいってきました。
しかし、共和制を開始した頃のローマはまだ「都市国家」でした。
その後「都市国家連合」になります。
そして第二次ポエニ戦争を経て地中海の覇権を確立。
「ローマ帝国」に生まれ変わります。
規模が小さかったころは上手く回っていた共和制でしたが広大な領土を抱えるようになった帝国を運営するには不向きでした。
広大な領土で起こる問題をいちいち首都ローマの元老院で長々と議論していては対応ができない。
強い指導力を持つ人物が統率して迅速に物事を決めていかなければならない。
カエサルはそう考えていたようです。
そのためこの先のカエサルは元老院であるにもかかわらず共和制を守りたい元老院派とバチバチにぶつかっていきます。

反乱が発生!疑われるカエサル!反乱の証拠?そんなたいしたものではないですよ。

カエサルが最高神技官に選ばれた年にカティリナという人が反乱を起こします。
この人は執政官選挙に立候補しており公約として債務帳消しを掲げていました。
実は前年、一昨年も出馬しており三度目の出馬。
公約も一貫して債務帳消しでした。
彼はいわゆる没落貴族の出身です。
没落貴族であるにもかかわらず豊かな生活を続けていた彼は多くの借金を抱えていました。
自分本位な公約にも見えますがこの公約は他の没落貴族や生活に行き詰った退役軍人から支持を集めています。
しかしカティリナは落選。

遂に反乱へ動き出します。
生活に行き詰った退役軍人からも支持があったことから思いのほか兵が集まり1万人規模にまで膨れ上がります。
さらに、ローマ市内にも複数の協力者がおり彼らが暗躍し始めました。

彼らの作戦としては執政官を暗殺し各所に火を点け、混乱に乗じてローマを手中にし各地から進軍してくる反乱軍を迎え入れるというもの。
そんなに上手く事が運ぶのか?
と思ってしまう作戦ですが彼らは成功を確信していたようで協力者の内の一人が得意げに愛人に話してしまいます。
この女性が元老院に知らせたことで事が露見。
最初は証拠不十分で難を逃れていましたが最終的に彼らは捕らえられてしまいます。
元老院にて彼らの処遇を巡って話し合いが行われました。

ローマには「ローマ市民は裁判もなく、また控訴権もなく死刑にはできない」という法律がありました。
しかし、例外として元老院が「元老院最終勧告」を発動すると元老院が良しとすれば即時死刑も行えるようになります。
既にこの時、国家の危機として「元老院最終勧告」は発動されており捕らえられた協力者たちを死刑にするべきだという意見が出されます。
ここでカエサルは待ったをかけます。
「まだ事を起こしていない人間を裁判も控訴もなしに即時処刑はやりすぎではないか」というのがカエサルの意見でした。
もともとカエサルはこの「元老院最終勧告」をどうにかしたいと考えていました。
「元老院最終勧告」はまさに元老院の切り札。
これさえ発動すれば元老院の邪魔者を一掃できてしまいます。
元老院の権力を削ぎたいカエサルとしては「元老院最終勧告」を法的観点から訴えることで弱体化を計りたかったのでしょう。
また、この機が「元老院最終勧告」発動の前例となり発動のハードルが下がることも危惧したのでしょう。
今後元老院派と対立を深めるであろうカエサルからすればハードルが下がればこの先「元老院最終勧告」が自分に向く可能性が高まります。
一度はカエサルの演説で即時死刑を思い留まった元老院でしたが別の即時死刑派の演説によって再度死刑に傾き、結局協力者は死刑となってしまいました。
カティリナの下に集まった1万の軍勢もローマで協力者が一掃されたことにより多くの者は離脱。
最後まで付き従った三千人はローマ正規軍と激突。
激戦の末、カティリナ共々討死
してしまいました。

実は、協力者が捕まるまでの間にこの反乱の首謀者は誰かという話が持ち上がっていました。
カティリナが元老院内であまり評価されていなかったため裏に黒幕がいるだろうと推測されたのです。
その中の候補にカエサルがいました。
なにせ当時のカエサル借金額でいえばカティリナよりもずっと多く、債務帳消しを誰より望んでいるだろうと思われたからです。
しかし、カエサルはこの件に一切関わっていませんでした。
カエサルはあまり借金の額面を気にしない人だったようでカティリナのように借金による精神的圧迫を感じていなかったようです。
とはいえ疑われている状態はカエサルとしてもよろしくありません。
そこで彼は一計を案じます。

ある日、元老院にてカティリナ問題が論じられている席でカエサル一通の手紙を書き召使に渡します。
そして、しばらくすると召使は手紙の返書を持って帰って来ました。
カエサルはその返書を黙って読み始めます。
この一部始終を見ていた元老院議員がカエサルを問い詰めます。
この人物はカエサル黒幕と疑っていたのです。
疑いを向けられたカエサル「これはたいしたものではないですよ」と答えますが疑いは晴れません。

絶対にカティリナ派との連絡文だと譲らないのでカエサルはその手紙を渡します。
手紙を読んだ元老院は手紙を投げ返し「この女たらし!」と罵りました。
先ほど書いていた手紙は愛人へ宛てたものでした。
召使が持って帰ってきたのは愛人からの熱烈なラブレターの返書だったのです。
他の元老院から爆笑が起きカエサルを疑っていた元老院は赤っ恥をかくことになってしまいました。
この一件でカエサルが黒幕なのではないかという憶測は消えていくことになりました。

ここでカエサルの事績を辿るのは一旦お休みし、カエサルを解説する上では欠かせない二人を紹介したいと思います。それがポンペイウスクラッススです。

カエサルの協力者にしてライバル!軍事の天才ポンペイウス!

一人目は、軍事の天才ポンペイウスです。
彼はカエサル編Part1で紹介したスッラの配下として頭角を現します。
当時から俊英として知られスッラの民衆派弾圧で軍功を上げたのを皮切りに反スッラの反乱を鎮圧するためのヒスパニア遠征、奴隷の反乱・スパルタクスの乱を鎮圧地中海一帯の海賊掃討オリエント(現在のトルコやシリア)を制覇し属州化と綺羅星の如く実績を積み上げています。
オリエント属州化によってローマの税収はそれまでの1.5倍以上になったのでその功績の凄さがわかると思います。
その活躍から市民からは英雄として絶大な人気を誇っています。
ヒスパニア遠征の際は軍を指揮するには役職経験が足りなかったにもかかわらず才能を買われ抜擢。
その後、資格年齢に達していないにもかかわらず人気と功績を背景に執政官選挙に出馬し当選。
軍才を持って異例異例の待遇を受けています。
ここまで見ていただくとわかると思うのですがポンペイウスと比べるとカエサルは殆んど実績がありません。
この大英雄クラッススカエサルは時に協力し、時に凌ぎを削っていきます。

カエサルの協力者にして債権者! ローマ最大の大金持ちクラッスス

二人目は、ローマ一最大の大金持ちクラッススです。
彼もポンペイウスと同様スッラの配下として頭角を現します。
しかし、ポンペイウスとは違い彼が活躍したのは経済界です。
元々お金持ちでしたがスッラによって弾圧され接収された民衆派の財産を競売に賭け売り払うことでさらに財を築いていきローマ最大の大金持ちになります。
中々あくどいやり口ですね。
上記のような財の築き方をしたため市民からの人気はあまりありませんでした。
その代わり元老院議員への金貸しや資金を背景に元老院で幅を利かせます。
ローマ最大の大金持ちが金貸しをするのだから沢山貸し付けることができます。
つまり、頻繁に沢山借金する人は自然とクラッススから借りることになっていきます。
そう、クラッススは今まで沢山借金を積み重ねてきたカエサル最大の借金相手です。
クラッススからしてもカエサル有数の債権者。
カエサルに何かあっては借金が返済されません。
借金は少額だと借金している側が立場が弱いですが多額になるにつれ債権者の立場が弱くなっていきます。
借金を回収できなかった場合は貸してる側も危ないという状態になると借金者を何とかして守らないといけなくなります。
クラッススカエサルはこのような関係になっていきます。
そのため彼は何かとカエサルに協力していくことになります。

次回予告

<strong><strong><span class="bold-blue">流水</span></strong></strong>
流水

 今回は、カエサルと元老院派の対立とカティリナの反乱。
今後の重要人物となってくるポンペイウスクラッススをご紹介しました。
次回は今回紹介した二人とカエサルが手を組んでローマ政治を牛耳っていく三頭政治をご紹介します。
いじょ~流水でした!

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この記事を書いた人

歴史好き/読書好きな一般サラリーマン
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